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「海の京都」ふたたび

京都府宮津市

2019. 4.22〜23

伊根を目指して

栗田半島の飯尾酒造さんの蔵見学の後は、ぐるりと宮津湾を回り込むように車を走らせ伊根へ向かう。
国道178号線はマリントピアを過ぎて海際まで山がせり出してくるあたりに差し掛かると、山側法面の補修工事区間が続く。しかし片側通行の工事信号に停まればむしろ嬉しいシャッターチャンス。今日はからりと晴れて海も空も青い。
途中山側に入った道を日出で右折して、また海沿いに戻る。前回乗った遊覧船の乗り場は建物が新しくなったばかり。今回は乗らずに通り過ぎて舟屋と母屋に挟まれた細い通りを抜け、まずは今夜の宿へ。
国道178号線
国道178号線。工事信号で停まっている間は絶景を楽しむ

舟屋の宿「あうら」に到着

舟屋の内部をリノベーションして昨年オープンしたばかりの「あうら」さんに今夜はお世話になる。前回の訪問では伊根には女性一人で泊めていただけるところなどなくて与謝野のホテルに泊まったが、こちらがオープンしたおかげで「舟屋で朝を迎える」という兼ねてからの夢が叶うことになった。
駐車場は一階の通りに面したスペース、その奥に海が見え船が舫ってある。車ごと鍵のかかる扉で守られ、こんな宿なら一人でも安心して夜を過ごせる。
階段を上ると広い客室があり、大きな窓の外に対岸を舟屋が取り巻く伊根湾の景色が広がる。
ゆったり広さのある和室にツインベッド、バスルームやトイレは独立して廊下の先にあり快適な環境。きれいにお掃除が行き届いていて気持ちが良い。
宿のオーナーのIさんは、まだ小さなお子さんをお持ちの若いお母さんだ。ひととおり内部を案内していただいた後、伊根の暮らしの様々なお話を聞かせてくださる。私も質問したいことがいろいろあったし、つい楽しくて話し込んでいるうちに、対岸の舟屋群が西日にきらめいてきた。
荷物を解いて散歩にでも出ようかと思ったが、外の景色があまりにも美しくて、ずっと窓辺にもたれたままのんびりしてしまう。
舟屋の宿あうら
まだオープンして一年ほどの宿
あうら 車は建物の一階に
建物の一階の扉を開け放つと、車が一台悠々と納まる
あうら 窓からの絶景
窓からの絶景 対岸は西日を受けて明るい
あうら 窓の外を海上タクシーがゆく
窓の外を海上タクシーがゆく
ようやく宿から表に出たのは夕闇が降りてきた頃。観光客も去ってひっそりしている伊根浦公園から七面山駐車場へ、前回訪ねた時は護岸工事中だった舟屋日和の建物があるあたりへと散策し、夕食をいただきに海宮(わだつみ)さんへ。
コース料理が人気のようだが、私はお寿司をいただいて、また散策しながら宿へ戻る。もうすっかり日は落ちて、自転車で通り過ぎていく青年や犬の散歩をさせている女性はみな地元の方のようだ。
まるで自宅にいるような親近感のある大きな浴槽で足を伸ばして入浴を済ませ、夜の海にゆらゆらゆれる灯りを眺めて、早々とベッドに入る。デュベスタイルのベッドメイキング、実に快適だ!
伊根浦公園夕景
七面山駐車場からの夕景
舟屋日和のINE CAFEは夕方には閉店してしまう
舟屋日和のもう一軒のお店、海宮へ
海宮 カウンターの向こうは暮れてゆく海の景色
海宮 コース料理以外にも気軽にいただけるお寿司がある
翌朝。対岸の山の端が薄明るくなり始めた頃目が覚めた。
カーテンを開けると朝焼けに染まる空が静かな海面に映っている。念願だった舟屋の朝が開けた。
対岸の港から定置網漁の船が二隻出航してゆくのが見える。やがていくつかの小さな船も岸を離れはじめ、穏やかな海面に船の残した波がゆったりと大きな弧を描いて広がってゆく。
部屋の窓から〜対岸の山の端を染める朝焼け
部屋の窓から〜定置網漁船が湾を出てゆく
食事がつかない宿なので、昨日のうちに買い込んだパンとスープで簡単な朝食を済ませ、身支度をして朝の散歩に出る。
出会う地元の方がみな「おはようございます」と声をかけてくれるのが気持ち良い。
うみどりが集まってくる朝の伊根浦公園
満開の写真が全国紙にも載った海蔵寺さんの桜も今はすっかり葉桜
お酒が飲めない私には敷居が高くて立ち寄れなかった向井酒造さんの蔵
宿に戻って1階の海側へ。干したワカメ越しの舟屋の風景が素敵!
10時のチェックアウトぎりぎりまでのんびりして、帰りの支度を整えて声をかけると、道路を挟んだ母屋から出て来たIさんが見送ってくださる。
まだ幼いお子さんを抱える主婦でありながら、こんな素敵な宿を切り盛りするIさん。昨日はキリッと女主人の顔で迎えてくださったが、今朝は優しいお母さんの表情をしていらっしゃった。
心に残る一夜を、ありがとうございました。ぜひまたお世話になりにまいります!
一晩お世話になったお部屋。とても居心地が良かった...
扉を開け放って出発!

海上タクシー「成洋丸」

気温も上がってきたし波も穏やか。予約はしていないが海上タクシーに乗ってみたくて七面山駐車場に車を停める。
ちょうど入れ違いに出航してしまった船が戻ってくるのを待ちながら、海に張り出すような駐車場や細い堤防から景色を楽しむ。
七面山駐車場。海上タクシーはここから乗車する。
海外からの団体客を乗せた遊覧船が通り過ぎてゆく
年配のご夫婦が船着き場にやってくると、間もなく一隻の海上タクシーが戻って来て接岸する。予約をしていたお客さんらしい。ご夫婦が乗り込んだ後、私も乗せていただけますか?と船長さんに声をかけるとOKのお返事。ライフジャケットを着けた3人の客を乗せて海上タクシー「成洋丸」は海上に滑り出す。
名古屋からいらっしゃったというご夫婦、奥様が絵を描くために伊根の景色の写真を撮りに来たとのこと。お二人とも陽気でお話が楽しい。
奥様が夢中で写真を撮る横でご主人が船長からもらったえびせんを撒くと、瞬く間にウミネコが群れ寄って来て、私もたくさんシャッターを押した。
成洋丸
いよいよ出航。
成洋丸
昨夜立ち寄った舟屋日和のあたり。高台の建物は道の駅
成洋丸
船長さんは要所要所で船を止めて説明をしてくれる
成洋丸
説明用の写真のファイル
成洋丸
えびせん目当てにウミネコたちが追いかけてくる
成洋丸
人に慣れていてすぐ近くまで寄ってくる
成洋丸
外海と季節風から湾を守る青島。神社の鳥居が見える
成洋丸
「あうら」さんを海から眺める。窓を開け放しお掃除の最中のようだ
遊覧船よりずっと近くで見られる舟屋、潮の香り、船長さんの楽しい解説・・・
実は小さな船に乗るのは少し怖かったのだけれど、やっぱり思い切って乗せていただいて正解だった!
最後に、一緒にクルージングを楽しんだご夫妻と交互にカメラを預けあって船長さんとの記念写真を撮る。
この船長さん、最近メディアでよく取り上げられる伊根の旅特集などで何度かお見かけしたことがある。ちょっとレトロなジョークを飛ばす、面白い方だった。

先ほどの遊覧船に乗っていた観光客だろうか、伊根浦公園あたりに急に人影が増えて来た。まだ静かなうちに海を楽しむことができてよかった。
成洋丸の船長さんと

道の駅 舟屋の里伊根

宿の窓からもよく見えた高台の道の駅。前回は小雨の中で眺めた伊根湾だったが、今日は快晴とはいかないまでにも明るい空の下。船が行き交い活気のある眺めが広がる。
メインのお店が本日休業らしいが、道の駅としての施設のほか食事処や売店も開いていて特に不自由はない。朝食を適当に済ませただけだったので、これから世屋方面に上がっていく前に早めのランチでもと思いながら、結局まだ空腹というわけでもなかったので温かいコーヒーだけ購入して車に戻り伊根を後にした。
二度目の訪問で念願だった舟屋の宿で一夜を過ごすこともできて、本当に楽しい伊根の旅だった。
道の駅「舟屋の里伊根」
道の駅「舟屋の里伊根」
道の駅「舟屋の里伊根」
道の駅「舟屋の里伊根」

京都いろいろ

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