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屋外の自然光の下で絵画を見る。
陶板に再現された絵とはいえ、今まで経験したことのない不思議な鑑賞法...
地下鉄北山駅の階段を地上に出ると、西側に府立植物園、東側に「陶板名画の庭」のエントランスがある。
陽を浴びた水面の底にモネの睡蓮が現れ、安藤忠雄氏の設計によるコンクリートの回廊が、緩やかなスロープと階段で下へ下へといざなう。
いずれもよく知られた名画が8点、その途中を飾る。
歩を進めるたびに表通りを行き交う車の音が遠のき、壁面を流れ落ちる水音に包まれる。高からず低からず心地よく絶妙なボリューム。
たどり着いた最下層には、ミケランジェロの「最後の審判」が待つ。入場してすぐにもその上部は吹き抜けから眺められたが、こうして下から見上げると迫力が違う。
ザーーー...
壁を沿うように流れ落ちる滝の音は、ここへきてMAXに。
「晴明上河図」の架かる回廊の先のベンチに、年配の女性が一人、静かに腰掛けておられた。私が来た時も戻る時もずっと。
旅の途中ではなかなかできない贅沢だが、ただ過ぎ行く時間を楽しむためだけにここに座っているのもいいと思えるような空間だった。
2012. 5.30