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舟屋の宿で迎えた伊根の朝。海沿いをひと回り散歩して戻る途中、山側の高台にある海蔵寺さんへ立ち寄ってみた。
通りから少し奥まった所にある石段を登ると"曹洞宗平田山海蔵寺"と彫られた寺標が立ち、さらに右に折れる石段の上に鐘楼門が見える。
「特に見るものなんてありませんよ」と聞いていたとおり、確かに鐘楼門をくぐった先の境内には扉の閉ざされた二棟の建物があるだけで人影もないが、花の時期を終えた桜の大木が花萼を残したままの緑の枝を広げていた。
満開のこの桜を海から撮った写真を見たことがある。山を背にして並ぶ舟屋群の景色の中で、そこだけポッと明かりが灯ったように印象的だった。桜の時期にはお花見をしながら精進料理をいただくイベントも催されているようだ。
人気のない境内をカメラを片手にうろついている私を見つめている視線がある。長いリードに繋がれた一頭の犬。迫力ある真っ黒な体躯なのに、優しそうな目をしたおとなしいワンちゃんだ。「君はなんという名前かな?」と聞いてもほんの少し首をかしげるだけ。あとで調べたらクルトン君という名だそうだ。知っていれば名前を呼んでもう少しお近づきになれたかも...と、ちょっと残念。
2019.4.23