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勝持寺を訪ねた後、車で少し下って再び山あいに上る道を辿り、十輪寺へ。
古今和歌集にある業平の桜の歌は、西行の「花見んとむれつつ人のくるのみぞ…」と一対をなすように私の記憶に残っていて、今日は奇しくもその2つの寺を続けて巡ることになった。
「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」
しかし季節は初夏。今はただ穏やな静けさと深い緑に抱かれている。
拝観受付では最初に「三方普感の庭」のご説明をいただく。立って、座って、そしてぜひ寝そべってご覧ください、と。
本堂から回廊を経て奥の間で庭を眺めるが、さすがに横たわるのは憚られてカメラを床近くに構えて仰ぐようなアングルで写真を撮る。
なりひら桜、今は清々しい緑の天蓋。
再び表に出て、本堂裏に回り込むような石段の坂を上ると、本堂の鳳輦形と称される屋根や中庭を見下ろす景観が開け、その先に業平の墓と塩竃跡がある。塩を焼く煙に叶わぬ想いを託す…スマホなんぞが普及してしまった今の時代の恋愛の何とつまらないことよ…
拝観を終えた後、庭を掃いていらっしゃった副住職さんと立ち話。
あれこれいろいろ楽しいお話や知識をお教えいただいて、とても貴重な時間だった。
はい、いつかきっと桜の季節に伺います!
2015. 6.10